東京都町田市の歯医者さん、タカムラ歯科医院です。今回のテーマは「歯周病の自覚症状について」です。歯周病は静かなる病気と呼ばれており、それは分かりやすい自覚症状がないからです。
例えば虫歯には痛みという分かりやすい自覚症状がありますが、歯周病にはそれがなく、そのため病気を自覚できずに進行してしまいやすいのが問題です。とは言え、自覚症状が全くないわけでなく、例えば「歯が長く見える」という自覚症状があります。
歯が長く見える理由
歯周病になると歯が長く見えるのは、歯肉退縮が起こることが原因です。歯周病が進行すると歯槽骨が溶かされてしまい、歯肉退縮が起こって歯肉の高さが下がります。そして歯肉の高さが下がることで、本来歯肉に覆われているはずの歯の根…すなわち歯根が露出します。
このため、歯根が露出した分だけ歯が長く見えるのです。つまり、歯が長く見えるということは歯肉退縮が起こっているからであり、歯肉退縮が起こっているということは歯周病が進行しているということになります。
知覚過敏
歯肉退縮によって歯の根が露出すると、知覚過敏が起こるようになります。知覚過敏とは、冷たいものが歯に触れた時などに一瞬ピシッとしみる症状で、これは何らかの理由で歯の表面のエナメル質が失われている場合に起こります。
エナメル質が失われるとその箇所は象牙質が剥き出しになっており、象牙質は刺激に対して非常に敏感です。このため、冷たさが刺激となって歯がしみてしまうのです。歯の根には元々エナメル質がないため、それが露出することで知覚過敏が起こってしまうのです。
初期の歯周病の自覚症状
歯肉退縮によって歯が長く見えることは、歯周病の中でも比較的分かりやすい自覚症状です。とは言え、この時点で歯周病を自覚してもタイミングとしては遅く、なぜならその歯周病は既に歯肉退縮が起こるほど進行しているからです。
もっと早い段階…つまり初期段階で歯周病を自覚するためには、初期段階ならではの歯周病の自覚症状を知っておくと良いでしょう。次の自覚症状に該当するものがあれば、歯科医院で診察を受けることをおすすめします。
歯肉が腫れている、変色している
歯周病になって歯肉が炎症を起こしている可能性があります。
口臭がする
口臭の原因は様々ですが、歯周病が原因による口臭は特に臭いがきついのが特徴です。
歯石がある
歯石があると歯周病になりやすく、また歯周病になった時に進行しやすくなります。
歯肉から出血する
歯肉が炎症を起こすと血液が集まり、食事や歯磨きの刺激で歯肉から出血しやすくなります。
歯周病を予防するための歯磨き
歯周病予防の基本は毎日の歯磨きですが、歯磨きで大切なのは頻度よりも精度です。つまり、例え1日10回歯磨きしても、精度が低ければ歯周病の予防は難しいのです。では、どうすればプラークを効率良く除去できる精度の高い歯磨きができるのでしょうか。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
ブラッシングだけの場合、プラークの除去率は一般的に6割程度です。しかし、デンタルフロスや歯間ブラシを使用すればプラークの除去率がさらに2割高まります。
プラークテスターを使用する
プラークテスターを使用すれば、磨き残したプラークを染色することができます。プラークを目に見える状態にすることで、磨き残しを確実になくせます。
ブラッシング指導を受ける
歯科医院で定期検診や予防歯科を受けると、治療メニューの中にブラッシング指導があります。これを受けることで、自分の歯並びに合った正しい歯の磨き方を覚えられます。
歯周病は歯を失う要因として最も多い
日本人が歯を失う要因として最も多いのは歯周病です。歯周病には虫歯のような痛みがないため、例え歯周病を自覚しても歯科医院に行かない人がいます。「歯周病は痛みがないから怖くない」…そう思ってしまう人がいるのです。
何より目立った自覚症状がないことで、自分が歯周病になっていることに気づかない人も少なくなく、これらの理由で歯周病を進行させてしまう人が多いのです。しかし、歯周病が怖くないと思うのは間違いで、歯周病は歯を失ってしまう怖い病気です。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯周病の自覚症状についてまとめます。
1. 歯が長く見える理由 :歯周病の進行で歯肉退縮が起こり、歯肉の高さが下がって歯根が露出するため
2. 知覚過敏 :歯根にはエナメル質がないため、露出することで知覚過敏が起こる
3. 初期の歯周病の自覚症状 :歯肉の腫れや変色、口臭がする、歯石がある、歯肉から出血する
4. 歯周病を予防するための歯磨き :デンタルフロスや歯間ブラシを使用して歯磨きの精度を高める
5. 歯周病は歯を失う要因として最も多い :歯周病は進行すると歯を失う怖い病気
これら5つのことから、歯周病の自覚症状について分かります。「歯が長く見える」を含め、歯周病の自覚症状は虫歯に比べて怖くないと思うかもしれません。なぜなら、虫歯のように激しい痛みを感じる自覚症状がないからです。しかし、目立った自覚症状がないことは病気に気づくきっかけが少ないことにもなり、そう考えると目立った自覚症状がないからこそ歯周病は怖いのです。