東京都町田市の歯医者さん、タカムラ歯科医院です。
今回のテーマは「歯並びの悪さと歯周病の発症」です。
歯周病は歯を失う要因となる病気のため、高齢の人に発症するイメージがあるでしょう。
しかし、歯周病は年齢関係なく発症する病気であり、
初期の歯周病に相当する歯肉炎に至っては小学生の子供でもかかることがありますね。
そして、歯並びが悪い人ほど歯周病が発症しやすいことをご存知でしょうか。
目次
歯周病を予防するための基本は毎日の歯磨きであり、磨き残しの少ない歯磨きを継続することが大切です。
つまり精度の高い歯磨きが必要なのですが、歯並びが悪いとそれが難しく、
なぜなら凸凹した歯並びだと歯が磨きづらいからです。
また、歯と歯が重なっていれば磨くこと自体が難しくなりますし、
プラークの除去率を高めるためのデンタルフロスが使えない可能性もあるでしょう。
このような理由から歯並びが悪いと歯磨きの精度が低下してしまい、歯周病が発症しやすくなるのです。
歯並びが悪いと噛み合わせも悪く、そのため口呼吸になってしまう人がいます。
口呼吸とは文字どおり口で呼吸をすることであり、乾燥した空気を直接口の中に取り込んでしまいます。
そうなると細菌を流すはずの唾液が蒸発、さらに空気を嫌う嫌気性菌の働きが活発になるのです。
この嫌気性菌は歯周病の原因菌ですから、働きが活発になることは歯周病が発症しやすくことを意味します。
つまり、口呼吸は歯周病の原因菌にとって住みよく繁殖しやすい環境を作り出し、
そして歯並びが悪い人ほど口呼吸になりやすいのです。
歯並びが悪いと噛み合わせも悪くなり、噛み合わせの悪さは歯肉に負担をかけてしまいます。
これは想像してみると分かりますが、噛み合わせが悪ければ噛み合わせることのできない歯がある一方で、
過剰に噛み合わせてしまう歯も存在、その歯は噛み合わせるたびにダメージを受けてしまうでしょう。
しかし、ダメージを受けるのは歯だけでなく、歯の下にある歯肉も同様にダメージを受けてしまい、
歯肉がダメージを受けることで炎症を起こして歯肉炎にかかってしまうのです。
ここで歯肉炎を治さなかった場合、本格的な歯周病に進行してしまいます。
歯並びが悪いことで噛み合わせが悪くなると、口が閉じられずに口呼吸になります。
上記では「口呼吸になることで嫌気性菌が活発化する」と説明しましたが、
唾液が蒸発することもまた歯周病が発症しやすくなる要因の一つになるのです。
なぜなら、唾液は細菌を流す自浄作用の役割を担っているからで、
その唾液が蒸発すれば細菌は流れずに停滞、口の中で繁殖してしまうでしょう。
そして、口の中で細菌が繁殖すればそれだけ歯周病の原因菌の数も多くなってしまうのです。
ここまでの説明から分かるとおり、歯並びの悪さは歯周病が発症しやすくなる要因になります。
しかし、それ以外にも意外な要因で歯周病は発症しやすくなり、例えば次の要因が挙げられます。
疲労は身体の免疫力を低下させます。そして歯周病は細菌の感染によって発症するため、
身体の免疫力が低くなればそれだけ感染しやすくなってしまうのです。
上記の「疲れ」と同様の説明になりますが、ストレスの蓄積は身体の免疫力を低下させます。
そのため細菌に感染しやすくなり、細菌の感染症である歯周病も発症しやすくなってしまうのです。
喫煙は歯周病が発症するリスクを5倍以上も高めます。
また、見た目上で歯肉の腫れが抑えられるため、発症に気づかず重症化もしやすくなってしまいます。
女性は妊娠するとホルモンバランスが乱れ、過剰に分泌することがあります。
女性ホルモンは歯周病の原因菌にとってエネルギーになるため、過剰な分泌で細菌の働きが活発化してしまいます。
いかがでしたか?
最後に、歯並びの悪さと歯周病の発症についてまとめます。
1. 歯磨きの精度低下 :歯並びが悪いと歯が磨きづらく、磨き残しが多くなるため歯周病が発症しやすい
2. 嫌気性菌の活発化 :口呼吸によって口の中が乾燥すると、歯周病の原因菌の働きが活発になる
3. 歯肉に負担がかかる :噛み合わせた時に特定の歯に過剰な力がかかり、歯肉が炎症を起こして歯肉炎になる
4. 唾液の分泌量の低下 :口呼吸によって唾液が蒸発、唾液による自浄作用が不充分になる
5. 「歯並びの悪さ」以外の歯周病の意外な要因 :疲れ、ストレス、喫煙、女性の妊娠など
これら5つのことから、歯並びの悪さと歯周病の発症について分かります。
歯並びの悪さは歯磨きがしづらい要因となり、歯周病が発症するリスクを高めます。
また、歯並びが悪いということは噛み合わせが悪いということであり、
噛み合わせの悪さも歯周病が発症する要因になることを知っておきましょう。